あの角を曲がると

穏やかな風の明るい午後の陽射しのなか

アパートの階段を下りて左に曲がった時

喜びが一瞬胸を掠めた

心の奥深くから湧き上がってくるその喜びは一瞬だけ

捕まえた！と思う間もなくスルッと手の中をすりぬけた

私の手に幸せの余韻を残して


そんな時

自分は今生かされていることに気づくんだ


階段を下りて左に曲がった時

私は明るい何かとすれ違った

何とはなしに何か良いことがあるような気がした

それを捕まえなくてもいいと思う

そこにあるのを感じる心があれば

明るい予感は時折訳もなくすれ違う

私の手に確かな余韻を残して